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PCサラウンド

偽 360 Reality Audio

タイトルからいかがわしいですが、ちょいと実験してみた結果を書いておきます。

ヘッドホンやイヤホンで疑似サラウンドを実現する技術がAppleとSONYから提供されてます。
(他からもありますがそっちは省略)

ヘッドホンは言わずもがな2chステレオでしかないので、通常はこれでサラウンドを感じるのは不可能なんですが、頭部伝達関数(HRTF)というものを利用して処理を行って、あたかも周囲に配置された音源から音が来てるかのように錯覚させる…みたいな。

実はこの類の技術はそんなに新しいものでもなくて、割りと以前からよく聞いてる気がしますが「頭部伝達関数」というのが、かなり個人差が大きいようで、疑似サラウンドを実感できる人と、できない人に分かれる…とよく言われてました。

ちなみに、自分は実感できない方の人です。

個人最適化

SONYの360 Reality Audio(以下360RA)は、この個人差の大きな「頭部伝達関数」を、スマホで耳の写真を撮影することで個人に最適化させようというアプローチ。

面白そうだったので試してみました。

ただし、360RAに対応したSONY製のヘッドホン/イヤホンやスピーカーが必要になるんですが、残念ながら持っておらず。
対応機種のお値段がそこそこすることもあって、360RAを試すだけに購入するのは、ちょっと無理。

仕方がないので、手持ちのヘッドホンの中で一番いい音で鳴らすオーテクのATH-AD900Xで代用して試してみることに。

というわけで”偽”360 Reality Audioのレビューになります。

設定手順

…は、アプリの指定に従って操作するだけなので割愛。

SONYのHeadphones Connectアプリと、360 Reality Audioに対応した音楽配信アプリ(自分は360 by Deezerを利用)をインストール。

Deezerはあらかじめユーザー登録しておいた方がいいです。
有料サービスなんですが、登録1か月は無料でお試しできます。

あとはHeadphones Connectアプリの指示に従っていくだけです。

最適化するヘッドホンは「MDR-CD900ST」を指定。
ATH-AD900Xは開放型なので、密閉型のCD900STとはかなり違うかとは思いますが、他に釣り合いそうな機種も無かったので、まずはものは試し。

実聴!

Deezerのアプリが割とざっくりした作りで、見たところアーティストでの検索もできなさそうで、ちょい苦労しましたがT-SQUAREの「Crème de la Crème」でお試し視聴してみます。

ふんふん…なるほどなるほど…

効果は確かにあります。

通常の2chステレオをヘッドホンで聞く場合、どうしても頭の中で音がなるような感じになるのは避けようがないんですが、360RAの場合はそれが左右に一定程度の幅に拡張されてる感覚はあります。
そのおかげで個々の楽器の音の細かな鳴り方を聞き分けやすくなって音楽を空間で楽しめる感覚は大幅にアップしてます。

それでいて、この手の疑似サラウンドにありがちな、腰砕けたようなヘニャっとした音になることなく、しっかりと視聴に耐える音です。

ただ、実際にスピーカーを6台以上配置してDolbyやDTSで再生するサラウンドに比べてどうかと言われれば、だいぶ別物か…という感覚。

空間の広がる方向はあくまで左右で、前後方向へのふくらみはもちろん上下方向にもあまり感じられません。
このあたり音楽の種類にもよるんで一概には言えませんが。

ヘッドホンで環境向上

一般的に従来のDolby/DTSによるサラウンドの主なターゲットは映画館やホームシアターで、映画を楽しむために開発された技術。
実際に、多くの映画配信やBlu-ray/DVDでこの技術は利用された、充分に効果を発揮してきています。

対して360RAは、今のところ映画配信よりは音楽配信へと注力してるようで、対応アプリがAmazon Prime MusicやDeezerあたりに限定されます。

ターゲットはスマホ等で音楽を聴く層、それもそこそこ良さげな流行りのヘッドホンを利用してる人…となれば、今回、実聴してみた感じの音場処理は、なるほどと頷けます。

ヘッドホン視聴時の、あの頭の中にこもった感じが、いい塩梅に解消できるなら、これはそれなりに魅力ありと言えるかも。

サブスク利用者ならありかな?

というわけで、従来からサブスクで音楽を聴いてる人なら、ちょっとヘッドホン奮発して360RAを試してみるのはありかも。

ただ、これを目的に音楽配信サービスのサブスクに加入するかと言われると、ちょい微妙。
自分はヘッドホンで音楽を聴く習慣がほとんどないので「なし」ですが、そのへんはユーザーの視聴環境次第です。

そもそも、今回の記事はあくまで”偽”ですので。
”真”を試せる環境の方は、ぜひ一度お試しを。

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